日本ブリーフサイコセラピー学会 第26六本木本大会 2016 7/29〜31

ワークショップ

7月29日(金) 13:00〜18:30
本大会ではワークショップを企画しております。お申し込みの際は、申し込み書に第3希望まで必ずお書きください。申し込み状況により、受付を締め切るコースが出てくる場合がございますので、ご注意ください。

7月29日(金)受付予定のワークショップは下記の3コースです。
12時から東洋英和女学院本部・大学院棟2階にて受付を行います。

1. ブリーフセラピー入門 〜会話・対話によるセラピー〜
6. トラウマ関連障害とパーソナリティ障害への人間性心理学
7. 認知行動療法でさらに広がる心理臨床

参加費は会員9,000円 非会員10,000円 学生6,000円となっております。

大会ワークショップのご案内

1 ブリーフセラピー入門 〜会話・対話によるセラピー〜〈研修委員会企画〉
松浦真澄(東京理科大学・こころとからだの元氣プラザ)
八巻秀(駒澤大学・やまき心理臨床オフィス)

 ミルトン・エリクソンの臨床をもとに発展し続けているブリーフセラピーには、現在さまざまな流派があります。それぞれに特徴的な側面がありますが、全体として共通する要素のひとつに、クライエントとセラピスト間の相互作用を重視している、ということが挙げられるでしょう。

 そこで、今回の入門ワークショップでは、会話や対話というものに焦点を当ててみます。漫才がボケとツッコミによって進行するように(?)、多くの場合、セラピーは、会話や対話によって進行するため、「会話・対話によるセラピー?それって当たり前のことでは?」という気がするかもしれません。この当たり前のようでいて、ときに見落としてしまいそうな部分を通して、ブリーフセラピーの学びを進めてみましょう。

 講師は、医療・教育・私設・産業などの領域で心理臨床活動に取り組んでいる2名が担当します。果たして、どちらがボケてどちらがツッコむのか・・・?難しいことは考えず、会話や対話を通して、新しい気づきや発見の時間をつくりたいと思っています。

参加者へのアナウンス
当日の参加を受付します。

大会長より
臨床面に限らず教育面においても評判の高い講師に入門編をお願いすることが出来ました。ブリーフセラピー初心者だけでなく、経験者にもプラスになること間違いありません。「原点回帰」に則り、当たり前の部分を見直して、学ぶことができるでしょう。

2 ブリーフセラピーの統合的アプローチ:『問題』の捉え方と活かし方
青木みのり(日本女子大学)

 「効果的」であることはブリーフセラピーの特徴のひとつです。しかし、「効果とは何か?」というのは意外に、簡単には答えられない問いです。クライエントとセラピストで捉え方が異なることもしばしばですし、クライエントの捉え方も、一人ひとり異なります。そして結果だけでなく、そこに至るプロセスも大切な要素であることも多いです。

 一人ひとりの世界観をユニークなものと考えるブリーフセラピーでは、個人の世界観に沿った効果を提供することが重要です。そのためには、「問題」に対する捉え方を共有し、その活かし方を考えることが役立ちます。そこで、このWSでは、参加者の皆さんと、いろんな疑問や豊富なアイディアを出し合い、共有しながら、「問題」を様々な角度から眺めてみることや上手に活かすことについて、ワークを交えて学び合いたいと思います。「こんな時どうしたらいいのか」「こうしてみたらうまくいった」「こんな考え方もある」などなど・・。ブリーフセラピーの実践を通じた学びの体験を共有し、見直してみたい方たちの参加をお待ちしています。

参加者へのアナウンス
定員は18名程度。
予約参加のみで参加を閉め切りました。

大会長より
本学会で「ブリーフセラピーの経験者向けのワークショップを設けたい」と常々願っていましたが、今回遂に叶いました。より質の高いサービスを提供するためのヒントが得られるでしょう。

3 米国精神分析のプラグマティズム―関係精神分析と精神分析システム理論の立場から
富樫公一(甲南大学・TRISP自己心理学研究所(NY))

 近年の心理療法や心理的アプローチから批判されることが多い精神分析ですが、精神分析の内部でも、1980年代から伝統的精神分析に対する批判的検証が活発に行われていることはあまり知られていません。米国では、それを関係精神分析や現代自己心理学と呼ばれる立場の分析家たちによって牽引され、理論や技法の認識論的問い直しとともに、臨床的結果を重視した実践活動の追求がされています。その中で、行為手続き的次元の相互交流や潜在記憶、刺激や覚醒水準のコントロール、愛着など、これまでの精神分析が注目してこなかった心理学的プロセスをも組み込んだ理論展開がなされています。

 講師は、米国NY州の精神分析家ライセンスを持ち、国際自己心理学会の評議委員や同学会機関学術雑誌の国際編集委員を務めるだけでなく、米国での多数の論文発表や書籍の出版、講演など、米国精神分析の新しい動向を作り出している分析家の一人です。ワークショップ参加者は、現代の新しい精神分析の流れと考え方の基礎を学んだのち、講師とともに紙面を使わない即興での事例検討会を行うことを通して、そのような考え方に基づいた臨床実践を体験します。

参加者へのアナウンス
定員は18名程度。
予約参加のみで参加を閉め切りました。

大会長より
本学会創設以来、初の精神分析を取り上げたワークショップの開催です。富樫先生は、国際的に活躍されており、なおかつ精神分析家のライセンスを有しておられます。そのため、精神分析の最先端の動向を学べる絶好の機会となります。なお、富樫先生は、7月31日(日)午後の大会企画の指定討論者としてもご登壇予定です。ワークショップから学術大会への連日参加がお薦めです。

4 初めてのアドラー心理学
鈴木義也(東洋学園大学)

 『初めてのアドラー心理学』(2005)を翻訳した当時、アドラー心理学は細々としたものでした。しかし、『嫌われる勇気』(2013)をきっかけに出版界で勢いづき、お陰様で私も『まんがで身につくアドラー』(2014)、『アドラー臨床心理学入門』(2015共著)、『アドラー心理学によるスクールカウンセリング入門』(2015共著)、「子どもの心と学校臨床」の中でアドラー特集(2016共著)を書く機会を得ました。

 私はブリーフセラピーもアドラー心理学と同様に学んできましたが両者は共存可能です。アドラーは「心理療法のデパート」において、間違いなくひとつの「原点」でありますが、化石ではなく、今も生き生きと使える効率的な手法です。アドラー学派に入門するというよりは、自分の臨床に新たな技法をひとつ加えるくらいの気軽な気持ちでおいでください。

 入門ワークショップなので予備知識0でも構いませんが、予習したい方は上記の拙著やその他のアドラー本に目を通しておいて質問してください。

参加者へのアナウンス
定員は特に設けません。
予約参加のみで参加を閉め切りました。

大会長より
精神力動といえば、フロイト、ユング、そしてこのアドラーです。最近、アドラーに関する書籍が書店に多く並んでいるので、世間のアドラー心理学への関心の高まりを実感できます。

5 ユング心理学入門
小坂和子(東洋英和女学院大学)

 ユング派の教育分析は、スイスの研究所でも日本でも「夢分析」が中心です。しかし、イメージをどのように扱うかは分析家によって実に異なります。ユングが「個性化」を尊重したように、分析心理学の理論はそれぞれの臨床家の心理療法の実際に直結して発展してきたからでしょう。

 本ワークショップは、ユング派心理療法の入門編です。コンプレックス・タイプなどのパーソナリティ論と象徴・元型などのイメージ論を学び、現代ユング派の「夢分析」の多様性を体験します。@理論を学ぶA事例に学ぶ(講師の担当事例を素材とする)B「夢素材」から学ぶ(受講者の事例で報告された夢を素材とする)の3つの構成とします。なお、時間的制約や人生の転機に伴う期間限定など、心理療法過程で「限界」に直面する際にあらわれやすい「対立物」(ユングの用語)の視座から”briefなるもの” の検討も試みます。

参加者へのアナウンス
定員は18名程度。
夢素材の提供希望者は、大会事務局(toyoeiwa-roppongi2016@jabp.jp)まで、件名に「ユング心理学入門WS夢素材提供募集」と表記したうえ、お問い合わせ下さい(5月半ばを目処に締め切り)。A4一枚以内で、クライエント情報の概要と夢(2,3個)の提供をお願いする予定です。

予約参加のみで参加を閉め切りました。

大会長より
本大会の開催校は「西の京都大学、東の東洋英和」と称されるほど、ユング心理学を専門とする教員が多く揃っています。その中でも今回は開催校で長く教鞭をとられている小坂先生に、大学院の講義では取り上げない内容かつ、ブリーフを絡めた内容での研修をお願いしました。ユング心理学を取り上げるワークショップは本学会創設以来、初めてです。

6 トラウマ関連障害とパーソナリティ障害への人間性心理学−彼らの「自己」をどう信じるか?どう向き合うか?
杉山崇(神奈川大学)

 トラウマ関連障害とパーソナリティ障害は精神分析的心理療法の文脈で長く検討されてきました。近年では認知行動療法でも繰り返しのエクスポージャーやスキーマセラピーなど、有効な技法が数多く提案されています。一方では、人間性心理学からの考察は比較的少ない状況です。

 しかし、人間性心理学には「セラピー」を「より人間的にする」エッセンスが満載です。米国心理療法学会と米国臨床心理学会の合同委員会は、治療関係には明らかな治療効果があることを示唆しています。これは精神分析的アプローチでも認知行動アプローチでも同様に言えることです。

 このワークショップでは、講師がここ数年の臨床で活用しているシアター&スポットライト仮説に基づいたトラウマ関連障害の理解と対応、そして、マズローの欲求5段階説を援用した境界性パーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害、ディスティミア親和型うつ病(新型うつ病)の理解と対応を紹介し、どのように信じて向き合うべきなのか検討しましょう。次に向き合い方の質を高めるために講師の作成した相談関係の満足尺度と不満尺度を活用したロールプレイをやってみましょう。あなたの相談実務力30%アップが目標です。

参加者へのアナウンス
当日の参加を受付します。

大会長より
講師の杉山先生は、基礎心理学と臨床実践の橋渡しをする研究活動に加えて、実践面においては統合的なアプローチの取り組みをされています。なお、杉山先生は、7月31日(日)午後の大会企画の指定討論者としてもご登壇予定です。ワークショップから学術大会への連日参加がお薦めです。

7 認知行動療法でさらに広がる心理臨床
神村栄一(新潟大学)

 認知行動療法(CBT)は、行動療法ベースと認知療法(あるいはREBT)ベースに大別されます。お困りを「とらえ」お困りに「変化をよびこむ」という2つの作業から構成されます。しばしば、前者の「とらえる」技術に成果は左右され、「力量」が決定されるのは、よく語られる通りです。CBTの実践において、これに熟練されていない方が直面する困惑の多くは、「ベースの異なる2つのCBTがある」という点の認識不足に由来しています。優劣はありませんが、相当に異なるのです。いずれにせよ、CBTの特徴は、シンプルに「問題をとらえ」、その結果を無理なく「変化をよびこむ」作業へとつなげられることです。その過程がクライエントには勿論のことセラピストにもプロセスがわかりやすいこと、互いの動機・前向きさが自然に高まるようにできていることにあります。

 このWSでは、行動療法ベースのCBTに含まれるいくつかの代表的介入〈生活のモニター、随伴性制御と刺激性制御の工夫、エクスポージャー(衝動制御)法、段階的行動形成や活性化など〉、その原理や技術バリーション、実践例を紹介解説します。簡単な実習も含みます。

参加者へのアナウンス
定員は、20名程度としておきますが、ニーズがあれば80名程度まで対応します。なお、参加可能となった方から事例(CBTをすすめた結果、ある程度の成果が得られたもの)の提供を募ります。
事例提供希望者は、件名に「認知行動療法WS事例提供について」として頂き、大会事務局(toyoeiwa-roppongi2016@jabp.jp)までお問い合わせください(5月半ばを目処に締め切り)。
また、事前にご質問・ご要望があれば可能な範囲で解説を準備させていただきます。ご質問・ご要望などは、所属とお名前を明記の上、kamimura★ed.niigata-u.ac.jpまで(★は@に)。
神村先生は、7月31日(日)午後の大会企画の事例提供者としてもご登壇予定です。ワークショップから学術大会への連日参加がお薦めです。

当日の参加を受付します。

大会長より
神村先生といえば、あちらこちらで引っ張りだこの認知行動療法界の大御所ですね。実は、私が大学院に在籍中、着任されたばかりの神村先生の授業を履修した際、2人の受講生と神村先生1人という恵まれた環境で教えて頂いており、私にとっての原点の一つとなっています。そういった点でも、今回の依頼は「原点回帰」の一環とも言えます。

8 臨床動作法入門
清水良三(明治学院大学)

 臨床動作法は、成瀬悟策九州大学名誉教授により開発された「動作」を主とし、「言語」を従とする心理療法です。イメージや感情と異なり、現実の存在である「からだ」を「動かす」実感とそれに伴うさまざまな体験を重視しています。

 動作法は、催眠法による脳性まひ研究がきっかけですが、その後、催眠を用いず「動作」そのものを心理現象として捉えることにより、発達障害を持つ方のコミュニケーションの改善や統合失調症者やうつの方、発達障害を基底に持つ方の不適応など、心理適応に困難を持つ方々の生きやすさの支援に寄与する心理援助法としての「臨床動作法」にまで展開してきました。また、「からだ」を「動かす」という「動作」を主とする臨床動作法は、震災ストレスの身体表現としての肩こりや腰痛など「からだ」に直接に働きかけることができ、その結果、不眠や生活意欲の向上などの心理健康支援に顕著な効果を上げています。

 ワークショップでは、実技を中心に参加者の皆さんに体験していただく予定です。

参加者へのアナウンス
定員は18名程度。
予約参加のみで参加を閉め切りました。

大会長より
臨床動作法は、ブリーフ学会が立ち上がった頃から時々ワークショップに組み込まれてきました。本ワークショップでは、椅子上での実施法を取り上げて頂きます。臨床動作法は、幅広い対象に適用出来るため、様々な領域で活動されている方に是非とも学んで頂きたいです。

9 オープンダイアローグの対話的実践: about-ness からwith-ness talkへ
〜様々な現場での対話的(ダイアロジカル)な支援に向けて〜
白木孝二(Nagoya Connect & Share)
長沼葉月(首都大学東京)

 フィンランド・ケロプダス病院ではじまり、世界各国に広がりつつある精神科医療のアプローチ「オープンダイアローグ」。入院や薬物療法を極力使わずとも精神病性障害からの回復がみられる点など、精神保健領域からの注目を皮切りに、幅広い領域から関心が寄せられています。

 この1年の間、斎藤環氏による「オープンダイアローグとは何か」をはじめとして、多くの関連情報が雑誌、セミナー、学会などで紹介され、フィンランドのスタッフの来日もあり、「ムーミンの国の夢のような話」として位置づけされていた「オープンダイアローグ」が,日本でも議論されるようになり,現場で実践として取り入れられることが現実味を帯びてきました。

 私たちは昨年から、それぞれの臨床現場でこのアプローチを取り入れた『対話的実践』をどのように展開できるかを模索してきました。このワークショップでは、対話的実践を支える基本原則とそのart & skillについて、講師チームが対話的に紹介しつつ、ワークとリフレクションを通して「対話を開いていく」ことについて、皆さんと一緒に考えたいと思います。

 キーワードはabout-ness からwith-ness talkへ。

参加者へのアナウンス
定員は最大18名程度。
予約参加のみで参加を閉め切りました。

大会長より
オープンダイアローグは、最近あちらこちらで耳にする注目のアプローチです。昨年の大会でもオープンダイアローグのワークショップを持ちましたが、好評で、講師達も手応えを感じておられるようでした。そのため、今年も引き続いて、同一の講師陣によるワークショップを行うことにしました。

10 組織との関わり方〜社会に通用する職能集団であるために〜
前原寛子(パナソニック健康保険組合 松下記念病院)

 昨今われわれ心理職の活躍するフィールドは急速に広がりつつあるものの専門性と現場のニーズのミスマッチも時に生じていることを感じていらっしゃる先生方も少なくないのではないでしょうか。

 私自身は、精神科病院に常勤で勤務しつつ、学校現場にも週1日勤務し、医療と教育の2足のわらじで10数年を過ごしました。病院では査定と面接にほぼ集中し、そこで培った専門性を武器に、学校という組織がケースなのだと意識しながら介入していました。

 「スクールカウンセラーは何をする人なのか。counselingとschoolの間に前置詞を入れるとしたら何なのか。“in”なのか“at”なのか、あるいは・・・」と悩み、counseling“for”schoolだと腹をくくり組織のエンパワーメントに徹した結果、校内にチームができ、危機介入とコンサルテーションが活動の中心となりました。

 その後、自衛隊で東日本大震災を経験し、技官と幹部自衛官として勤務した後、現在は緩和ケア病棟の立ち上げのため病院で初めて採用する心理職として企業の健康保険組合立の総合病院に勤務しています。

 学校でも自衛隊でも現在の職場でも「臨床心理士って何する人?」という質問を浴びながら、“for スクール”“for 自衛隊”そして今は“for 病院(企業)”の活動の在り方を日々模索しています。

参加者へのアナウンス
いくつかの架空事例をもとに、ワークショップ形式で行います。
定員は特に設けませんが、大会長より「裏話を」というオーダーですので、なるべく少人数で医療・教育・国防の現場の具体的・現実的な話をしたいと思います。ふだん皆さんが感じていらっしゃる多職種連携や地域援助の困りごとを持ち寄っていただき、少しの勇気と元気を持ち帰っていただける時間になれば幸いです。

予約参加のみで参加を閉め切りました。

大会長より
私が前原先生と知り合った当初はロールシャッハ法に熟練した病院臨床のエキスパートだと思っていましたが、10年以上の時を経て再会した際には組織に対する臨床も実践されていました。再会の折に前原先生から伺った学校や自衛隊等の臨床現場で縦横無尽に活躍された裏話を、是非とも表舞台で披露して頂きたいと思い、講師を依頼しました。臨床に役立つヒントが満載です。

(以上、敬称略)

日本ブリーフサイコセラピー学会